ダイナミックテープは機能を変えるテーピング
Dynamic Tapeは、一般的なキネシオロジーテープとは異なり、皮膚を軽く持ち上げることだけを目的としたテープではありません。筋肉のように伸び、強く戻る性質を利用して、動作中の負荷を管理し、必要な動きを補助するためのバイオメカニカルテープです。スポーツ分野だけでなく、姿勢、歩行、バランス、運動制御のサポートを必要とする場面でも活用されており、機能神経学を用いる多くの臨床家にも採用されています。
Dynamic Tapeの特性とキネシオロジーテープとの違い
Dynamic Tapeは、キネシオロジーテープの「強化版」ではありません。 皮膚刺激や軽いサポートを主目的とするテープではなく、強い伸張抵抗とリコイルを利用して、動作中の負荷を吸収し、過剰な動きを減速し、必要な方向への動きを補助するためのバイオメカニカルテープです。
動画解説:Dynamic Tapeは、なぜキネシオロジーテープと違うのか?
Kinesiology Tape vs Dynamic Tape / Mechanical Properties Comparisonこの動画では、Dynamic Tape創設者のRyan Kendrick氏が、一般的なキネシオロジーテープ、Dynamic Tape Original、Dynamic Tape Ecoの物理的特性を比較しながら、 それぞれの臨床的な使い分けを解説しています。 最も重要なポイントは、キネシオロジーテープとDynamic Tapeでは、伸びる方向、抵抗の出方、終末域での硬さ、可動域内で生じるリコイルが大きく異なるという点です。
一般的なキネシオロジーテープは、主に縦方向に伸びます。 一方で、横方向には伸びにくいため、身体の正中線をまたぐ貼付、斜め方向の貼付、回旋や複合運動を伴う貼付では、動きの方向によって制限が出やすくなります。 皮膚刺激や軽いサポートを目的とする場合には有用ですが、関節をまたいで機械的に負荷を管理したい場合には限界があります。
Ryan Kendrick氏は、機械的な効果を得るためには、テープを関節や運動軸をまたぐように貼り、さらに短縮位で貼る必要があると説明しています。 これは、テープをバンジーコードのように使う考え方です。 身体が動いてテープが伸ばされると、テープはその動きに抵抗し、反対方向へ戻ろうとする力を生み出します。 この力によって、動作を減速したり、過剰な終末域への崩れを抑えたり、必要な方向への動きを補助したりします。
しかし、キネシオロジーテープをこのように機械的に使おうとすると、すぐに伸び切ってしまい、硬い終末域に到達します。 その結果、可動域の途中では十分な抵抗やリコイルが得られず、最後のところで急にブロックするような働きになりやすいと説明されています。 反対に、フルレンジを許容するために伸長位で貼ると、動作を減速したり補助したりする機械的効果は小さくなります。
Dynamic Tapeは、キネシオロジーテープよりも大きく伸び、終末域で急に硬くブロックしにくい性質を持っています。 そのため、短縮位で貼っても、可動域を残したまま、動作中に継続的な抵抗とリコイルを生み出しやすくなります。 また、縦方向だけでなく複数方向へ伸びるため、筋肉の走行や身体の複合的な動きに合わせた貼付を設計しやすい点も特徴です。
動画後半では、フォースゲージを使って、各テープにどれくらいの抵抗が発生するかを比較しています。 キネシオロジーテープでは、可動域の途中ではほとんど大きな抵抗が出ず、終末域に近づいたところで急に力が増えます。 つまり、動作中に継続して負荷を吸収する、動きを減速する、反対方向へ補助するという働きは限定的で、主に最後の硬い終末域でブロックするような性質が強いと説明されています。
Dynamic Tape Originalでは、少し伸ばし始めた段階から明確な抵抗が発生します。 動画では、動かし始めの早い段階で約2〜3kg程度の抵抗が生じ、さらに速く伸ばすと4kg、8kgと抵抗が増える様子が示されています。 これはDynamic Tapeが粘弾性、つまりviscoelasticな性質を持つためです。 伸ばす速度が速いほど、テープはより硬く、より強く抵抗します。
Dynamic Tape Ecoは、さらに少ない伸びで高い抵抗を出すタイプとして紹介されています。 動きの量が大きくない関節や靭帯、たとえば内側肘や足関節捻挫のように、少ない可動域の中で高い負荷を減速したいケースに向いています。 大きく伸ばさなくても早い段階で抵抗が立ち上がるため、関節や靭帯性ストレスの管理に使いやすい特徴があります。
比較表と動画から分かるように、Dynamic Tapeは「少し支えるテープ」ではなく、可動域内で抵抗と反発を生み出すためのテープです。 皮膚への刺激だけでなく、筋・腱・靭帯・関節にかかる負荷をどの方向に減らしたいのか、どの動きを減速または補助したいのかを考えて使用します。
したがって、Dynamic Tapeを使う際は、痛い場所にそのまま貼るのではなく、動作を観察し、負荷が集中している組織、崩れやすい方向、疲労によって乱れやすい運動パターンを確認したうえで貼付設計を行います。
- 皮膚刺激中心のテープから、動作・負荷・機能に働きかけるテーピングへ
- 固定ではなく、可動性を残したまま負荷を管理したい場面に適応
- スポーツ、リハビリ、日常動作、姿勢保持、疲労時の動作補助に応用
主に縦方向に伸び、可動域の途中では大きな機械的抵抗が出にくい傾向があります。 終末域で急に硬くなるため、動作中の継続的な負荷吸収や減速補助を目的とする場合には限界があります。
伸ばし始めから明確な抵抗が生じ、動作速度が速いほど抵抗が高まります。 筋肉のように伸びて戻る性質を利用し、動作の減速、負荷吸収、運動補助に使いやすい基本タイプです。
少ない伸張でも早い段階で高い抵抗が出やすく、関節や靭帯性ストレスの管理に向いています。 足関節捻挫、肘周囲、動きの量は小さいが負荷が大きい部位で検討できます。
身体の曲面、斜め方向、回旋、正中線をまたぐ貼付にも対応しやすく、筋肉の走行や複合運動に合わせた設計が可能です。
テープが伸ばされた時にエネルギーを蓄え、戻る力によって、動作を補助したり、過剰な動きを減速したりします。
終末域で急に止めるのではなく、動作の途中から負荷を吸収し、筋・腱・靭帯・関節への負担を分散しやすくします。
粘弾性により、ゆっくりした動きでは柔らかく、速い動きではより強く抵抗します。 スポーツや転倒予防、急な方向転換にも応用しやすい性質です。
非伸縮性テープのように強く固定するのではなく、自然な動きを残しながら、必要な方向へ外部サポートを加えられます。
水に強く、適切に除去すれば粘着残りも少ない設計です。 リハビリ、スポーツ復帰、日常動作の負荷管理に使いやすいテープです。
機能神経学との相性
機能神経学では、痛みのある部位だけでなく、感覚入力、姿勢制御、運動出力、予測制御、疲労時の代償運動を統合して評価します。 Dynamic Tapeは、強い伸張抵抗とリコイルによって、身体へ機械的サポートと継続的な体性感覚入力を加えられるため、 運動学習や姿勢・歩行・バランスのサポートに応用しやすいツールです。
Dynamic Tapeの特徴は、単に「貼って支える」ことではなく、身体が動くたびにテープが伸ばされ、その反発によって動作中の負荷を一部シェアできる点です。 これにより、筋疲労が出やすい部位、終末域で崩れやすい動作、荷重時に不安定になりやすい関節、姿勢保持が続きにくいケースに対して、 可動性を残したまま外部から補助を加えることができます。
機能神経学的には、Dynamic Tapeは固定具ではなく、運動制御を変えるための外部入力として考えます。 テープの伸張抵抗は、動作の方向、速度、終末域、荷重のかけ方に対する感覚的な手がかりになります。 そのため、貼付後は痛みだけでなく、姿勢、歩行、バランス、眼球運動、前庭負荷、呼吸、代償運動の変化を観察することで、より臨床的に活用しやすくなります。
小児の筋緊張・下肢トーン・身体の使い方への応用
小児の発達サポートでは、足部の接地、下肢の筋緊張、姿勢保持、荷重のかけ方、歩行時の安定性が重要になります。 Dynamic Tapeは、足部から下肢にかけて機械的なサポートと固有受容感覚入力を加えることで、子どもがより適切な身体の使い方を学習するための補助として活用されます。 低緊張、過緊張、足部アライメントの不安定性、歩行時の崩れ、バランスの取りにくさなどに対して、評価に基づいた貼付を行うことで、運動学習を支える選択肢になります。
皮膚・筋膜・関節周囲への持続的な入力により、身体の位置や動きに気づきやすくなります。 固有受容感覚の補助として、姿勢や動作の再学習に活用できます。
筋力低下、疲労、痛み、緊張の偏りによって動きが崩れる場合に、必要な方向への動きを補助し、過負荷を分散しやすくなります。
姿勢制御、歩行時のクリアランス、接地戦略、バランス課題、荷重移動など、機能的な運動課題と組み合わせて使いやすいツールです。
機能神経学的に見る3つの臨床ポイント
Dynamic Tapeを機能神経学の文脈で使う場合、単にテープを貼って終わりではなく、貼付前後で神経機能と運動出力の変化を確認することが重要です。 特に、減速制御、予測制御、疲労時の代償運動を観察すると、テープの臨床的な意味が明確になります。
多くの運動エラーは、動きを開始する力だけでなく、止める力、減速する力、終末域を制御する力の低下と関係します。 Dynamic Tapeは、動作中に伸ばされることで反対方向への抵抗を生み出し、遠心性制御や減速制御を外部から補助します。
テープが一定方向へ抵抗を加えることで、患者は自分の動きの方向、速度、終末域に気づきやすくなります。 これは、運動前の予測制御、運動中のフィードバック、運動後の再評価をつなぐ感覚的な手がかりになります。
疲労すると、関節終末域への崩れ、過剰な防御収縮、左右差、姿勢制御の乱れが出やすくなります。 Dynamic Tapeによる負荷分散は、筋疲労が出やすい局面で動作を支え、代償運動を減らすための補助刺激として使えます。
貼付前後に確認したいこと
Dynamic Tapeは、評価と再評価を行うことで臨床的な意味が明確になります。 「貼ったら楽になったか」だけでなく、どの神経機能・運動機能が変化したのかを確認してください。
痛み、可動域、筋疲労、荷重感、姿勢、歩行、片脚立位、スクワット、眼球運動、前庭負荷、呼吸、代償運動を確認します。 どの動きで崩れるかを明確にします。
テープの方向、テンション、アンカー、皮膚の引きつれ、動作制限の有無を確認します。 「支えられているが、動ける」状態を目指します。
痛みの変化だけでなく、動作の滑らかさ、姿勢の取りやすさ、疲労感、荷重の安定性、代償運動、バランス、運動課題の遂行しやすさを再評価します。
購入する
NCJでは、ダイナミックテープで最も使いやすいベージュタトゥー(5cm)シリーズを中心に取り扱っております。 ご希望の商品・数量をメールでお知らせください。在庫状況を確認したうえで個別にご案内します。
Original Beige Tattoo|5cm幅 シングル
足部、手関節、肘、肩、膝周囲など、幅広い部位に使いやすい標準的な5cm幅です。
Original Beige Tattoo|7.5cm幅 シングル
大腿部、下腿、腰背部、肩甲帯など、広い面積や大きなテコを捉えたい場面に適しています。
Original Beige Tattoo|5cm幅 ボックス
臨床現場で継続的に使用する先生向けの6個入りケースです。
Original Beige Tattoo|7.5cm幅 ボックス
大きな部位への貼付やスポーツ・リハビリ現場での使用頻度が高い先生に適した4個入りケースです。
その他のDynamic Tape製品について
上記以外のDynamic Tape製品、ECOシリーズ、他カラー、他サイズ、関連アクセサリーなども、お取り寄せ可能な場合があります。 ご希望の商品がある場合は、商品名・サイズ・カラー・数量を添えてお問い合わせください。在庫状況、納期、価格を確認のうえ、個別にご案内します。
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Dynamic Tapeは、現在NCJウェブサイト上でのオンライン決済には対応しておりません。 ご希望内容をメールでお送りいただいた後、在庫状況を確認してご案内します。
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NCJ購入者専用ページをご利用いただけます
機能神経学を学習しているNCJ受講生は、 さまざまなDynamic Tapeの応用方法を紹介する購入者専用ページをご利用いただけます。足部、下肢、姿勢、歩行、バランスなど、臨床での活用イメージを広げるための補助コンテンツとしてご確認ください。
※購入者専用ページへのアクセスにはパスワードが必要です。商品発送時のご案内メールに記載しておりますのでご確認ください。
世界中のスポーツ現場で選ばれるDynamic Tape
Dynamic Tapeは、陸上、球技、ラケットスポーツ、チームスポーツ、水中競技など、さまざまな競技のアスリートに使用されています。 単に関節を固定するためのテープではなく、筋肉のように伸び、強く戻る性質を利用して、競技中の身体にかかる負荷や動作の方向性をサポートするためのバイオメカニカルテープです。 スピード、ジャンプ、切り返し、着地、ラケット操作、反復動作など、動き続けることが求められるスポーツ現場で活用されています。
TRACK
VOLLEYBALL
TABLE TENNIS
TENNIS
TEAM SPORTS
リサーチ・エビデンス
Dynamic Tapeは、単なる「貼ると楽になるテープ」としてではなく、 強い伸張抵抗とリコイルを利用して、身体の負荷、動きの方向、協調性、荷重パターンに働きかける バイオメカニカルテープとして研究されてきました。 まだ研究数は十分に多いとはいえませんが、足関節や足部を中心に、バランス、コーディネーション、 足部機能、動作サポートに関する報告が少しずつ積み重なっています。
研究から見えてきていること
現時点の研究では、Dynamic Tapeはキネシオロジーテープとは異なり、 皮膚への軽い感覚刺激だけでなく、実際に身体へ機械的なサポートを加える ことが特徴として示されています。
足関節捻挫後の研究では、Dynamic Tape貼付後にバランス、協調性、患側への荷重に変化がみられ、 足底筋膜炎の研究では、足部機能やY-Balance Testにおいて良好な結果が報告されています。 これらは、Dynamic Tapeが単に「貼っている感覚」を与えるだけではなく、 荷重のかけ方、身体の揺れ、動作中の力の方向性に影響しうることを示唆しています。
臨床的な意義: Dynamic Tapeの強い反発性と張力は、皮膚からの入力だけでなく、筋・腱・関節を通じた固有受容感覚にも影響を与える可能性があります。 その結果、身体の位置感覚、荷重感覚、動作方向の認識が変わり、脳内の体性感覚マップや運動出力の調整をサポートすることが期待されます。 つまりDynamic Tapeは、単なる固定具ではなく、機械的サポートを通じて機能的な感覚入力を変えるテーピングとして捉えることができます。
- 足関節捻挫後の症例で、バランス・協調性・患側への荷重の改善をサポートした報告
- 足底筋膜炎の研究で、足部機能やY-Balance Testの改善において良好な結果
- 方向を意識した貼付により、課題特異的な機械的補助が得られることを示す研究
足関節捻挫後のバランス・協調性
Pawikらの予備的報告では、Grade I・IIの足関節捻挫患者30名を対象に、 Dynamic Tape貼付後の姿勢安定性と荷重パターンを評価しました。
その結果、mean radius of swayやcoordinationの改善がみられ、 特に閉眼条件での患側荷重の改善が報告されました。 Dynamic Tapeは、リハビリの特定段階において、バランスとコーディネーションをサポートする補助として有望と考えられています。
足部機能とバランスへの影響
Kim & Leeのランダム化比較試験では、足底筋膜炎患者69名を Dynamic Taping+理学療法、Kinesiology Taping+理学療法、対照群に分けて4週間比較しました。
その結果、Dynamic Taping群はFoot Function Index(FFI)と Y-Balance Test(YBT)で、KT群より大きな改善を示しました。 一方で、痛みや足圧はDynamic Taping群・KT群とも対照群より良好で、 Dynamic Tapeは特に機能面・バランス面で強みが示されました。
キネシオとは異なる「力学的サポート」
McNeill & Pedersen(2016)は、Dynamic Tapeを load control(負荷コントロール)という視点から整理し、 負荷の吸収、動きの減速、必要な方向への補助という、キネシオロジーテープとは異なるコンセプトを示しました。
また、Huangら(2024)の研究では、Dynamic Tapeの方向性を持ったサポートが 方向特異的な肩の疲労軽減に寄与する可能性が示されており、 Dynamic Tapeが「ただの感覚入力テープ」ではなく、 貼付方向と目的設定が重要なバイオメカニカルテープであることを裏づけています。
参考研究
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Pawik Ł, et al. (2022). In Patients with Grade I and II Ankle Sprains, Dynamic Taping Seems to Be Helpful during Certain Tasks, Exercises and Tests in Selected Phases of the Rehabilitation Process: A Preliminary Report
https://www.mdpi.com/1660-4601/19/9/5291 -
Kim DH, Lee Y. (2023). Effect of Dynamic Taping versus Kinesiology Taping on Pain, Foot Function, Balance, and Foot Pressure in 3 Groups of Plantar Fasciitis Patients: A Randomized Clinical Study
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10629267/ -
McNeill W, Pedersen C. (2016). Dynamic tape. Is it all about controlling load?
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26891654/ -
Huang HM, et al. (2024). The effect of Dynamic tape’s directional support on shoulder subacromial force, scapular upward rotation, and pain in women with shoulder impingement syndrome
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39180114/
